2022年7月某日、小比類巻家畜診療サービスで飼養する黒毛和牛の種雄牛『花靖国』(通称:ヤッくん)の精液採取(採精)が行われました。
当日はなぜか女性社員がそわそわウキウキ。見たいけど仕事で見られないスタッフたちのために、しっかりと映像で記録してきましたのでそのご報告です。なお、イチ事務員オバサンの拙い観察日記ですので失礼な描写等あるかもしれません。なにとぞご容赦を。
さて、採精作業の行われる牛舎に入ると、メス牛さんのお尻をみじろぎせず凝視するヤッくんがいました。なんだろうこの姿。週刊誌の見開きページをじーっと見つめるどこぞのオッサンみたいです。ったく男ってヤツは(笑)

一方こちらは、別のメス牛さん。動かないようにしっかりと固定されています。
ワタシの事前調査では偽牝台(ぎひんだい)という雌牛を模した台を使うのでは?と思っていましたが、まさかのナマ牛。本番さながらの舞台が設定されていました。このか細い体にヤッくんの巨体が乗っかるのね、と思ったら同じ女性としてなんだかやるせないものを感じてしまいました。

そして、満を持して本日の主役、ヤッくん参上。のっしのっしと進むその歩みには「今日はやったるでー」とみなぎる自信が垣間見えます。

口からヨダレをたらし、その気満々のヤッくんですが、いったん隣りで待機。何をするのかと思ったら、

陰部のお掃除が始まりました。そうよね、キタナイ男性は嫌われます。何事もエチケットが大切。きれいなタオルでふきふきしてもらいましょ。

一点を見つめ動かないヤッくん、大仕事を前に明鏡止水の心境か?
さぁ、準備はできたかな?

と思ったら今度はシャワー水でジャーッ。中までキレイに洗い流します。

うっひゃ~~~~っ。つめてぇ、つめてぇぜぃっ。オレさまの商売道具、て、丁寧に扱ってくれよな!(と言ってるように見えました)

もういい?いいでしょ?お願い。ボク、もうガマンできないよ(と言ってるように見えました)

というワケで隣りに移動し、いよいよ始まりました。

おー、ヤッくん立ち上がったーーー。す、すごい迫力っ。ですが、ヤッくんこの後すぐに下りてしまいました。

ただならぬ空気に、ギャラリーの視線も一点に集中。

2回め始まったーーーっ。スタッフさんが精液採取を試みるもまだ「その瞬間」はやってこず。ふぅぅぅぅ、見ているこっちも力が入ります。

ちなみにスタッフさんが手にしているのはこちらの道具。「人工膣」というようです。この中に射精してもらい、先端にセットした容器の中に精液が溜まるしくみかと思われます。

いったん離れて仕切り直し。
だけど、いっこうに動く気配ナシ。カモーン、ヤッくん、Show Must Go on。種雄牛としての務めを果たすのじゃっ。と思ったその矢先……

始まりましたーーー。すかさずスタッフさんが人工膣をかぶせます。す、すごい早わざ!

さっきまで透明だった先端の容器が白くなりました。採精成功!この間ほんの数秒。いいんです。スピードより質です。量なんです。たぶん、きっと、そうね。

行為が終わったとたん、そっぽを向いてそそくさとその場を立ち去ろうとするヤッくん。ものすごーくタンパクです。あなた、人間だったら女性に超嫌われるタイプよ。

取れたてホヤホヤの精液を見せてもらいました。これがが何百本というストローに詰められ、販売されるワケですね。

早速隣りの部屋で、精液を顕微鏡で観察します。

特別に見せてもらいました。胚培養士さんも興味津々。

「うっひゃ~~~~~~~。すンごぉぉぉぉ~~~~~~~~い!」
胚培養士さんの叫びが部屋じゅうにこだまします。いつも受精卵を作るときに使っている凍結した精液とは、精子の数も活力もぜんっぜん違うとのこと。鮮度の違いが歴然のようですね。

顕微鏡写真のアップ。壁紙の模様のように見えますが、すべてヤックンのおたまじゃくし。生命の源です。なんと神々しい。
というワケで、ヤッくんの採精作業は無事終了。遅ればせながらお手伝いいただいた畜産研究所の皆さん、お忙しい中ありがとうございました。
実は動画も撮ったのでYoutubeで公開しようとも思ったのですが、ギャラリーの黄色い声やヤックンの尊厳に関わる声(ご想像ください)が満載なので、若干の編集作業が必要(笑)。折をみてアップロードしたいと思いますので、興味のある方はどうぞ気を長くしてお待ちください。

令和3年の種雄牛別枝肉成績で全国11位にランクインした花靖国。今年に入ってからも、各地の共進会で好成績を次々とおさめ、人気上昇中です。花靖国精液は弊社ホームページよりご利用いただけます。どうぞよしなに~。