牛にかかわる事務仕事に携わるようになって初めて知った業界用語が多々あります。その中でも、何でそういう名前ついた?とか、ぷぷぷ変な名前ーっとか、印象に残る言葉がいくつかありまして、そのひとつが「フリーマーチン(freemartin)」。
「この牛、フリーマーチンだすけダメだー」とか、否定的な意味で使われることが多いこの単語。
自由なマーチン?マーチンを開放しろ?そもそもマーチンって誰やねん?長いのになんで誰も「フリマー」って略さない?
フリーマーチンと聞くたびにワタシの頭の中ではリッキー・マーチンがアー・チー・チー・アー・チーって踊りだしちゃうんですが、その意味を知ってびっくりしましたよ。
オスとメスの異性双子で生まれた牛のうち、メスは生まれつき生殖器に異常があって妊娠できないということ。そんな不妊牛のことをフリーマーチンとよぶのだそうで、フリーマーチンとなる確率たるやウィキさんによると90%を超えるんだそうです。
ほかのメス牛さんたちが繁殖牛としての生涯をおくるのに対し、このフリーマーチンさんは肉用牛として短い一生を終えることになるんですねぇ。女として生まれたのに、女の喜びを知らずに一生を終える牛がいるなんて。あぁ、なんて悲しい運命よ。
そしてこちら
小比類巻家畜診療サービスで生まれた4ヶ月の子牛ちゃん。異性双子で生まれたメスなので、フリーマーチンとしての悲しい一生が待っているのか・・・
と、思いきや
ででーん!
遺伝子検査結果の報告書が到着。

なーんと、フリーマーチンじゃなかったー!
すごいすごいすごーい。この上なくうれしく感じるのは、ワタシが同じ女性だからでしょうか?
9対1のハンディを乗り越え、まさに九死に一生を得た子牛ちゃん。小比類巻のラッキーガールとして大切に見守っていきたいと思います。
あ、そうそう。
マーチンって誰やねん!の続きですが、その昔St. Martin(聖マルティヌス)という良い行いをした修道士がおりまして、毎年St. Martin's Day(11月11日)はキリスト教徒が収穫祭の日としてご馳走を食べる日なんですが、この牛は不妊だから食べちゃっていいよー、ご自由にどうぞーっていうのがフリーマーチンの語源という説があるようです(かなりハショって書きました)。