牛の人工授精

突然ですが「AI」と聞いたら何を思い浮かべるでしょうか?

「人工知能(Artificial Intelligence)」と答えた方は、一般ピーポー。半年前、入社したばかりの頃のワタシもそうでした。

「AIっつったら『種付け』だべよ」と答えるアナタ、完ペキ牛業界の人ですね?同じAIでもこちらは「人工授精(Artificial Insermination)」。小比類巻家畜診療サービスでもしょっちゅう飛び交っているこの言葉ですが、実際はどうゆうことをやってるのか、牛の人工授精の様子を見学してきました。


まずは獣医師さんのご紹介。
青森県十和田市にある北里大学獣医学部を卒業、獣医師になって3年のソネ先生は東京都出身。そのマジメさと細やかな気遣いから、スタッフや酪農家さんが厚い信頼をよせる先生です。牛にも負けず劣らずの大きなカラダ、つなぎのサイズは3Lです(笑)。

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人工授精をする前に、まずは肛門に左手を入れて、ウ〇チをかき出します(お食事中の方ごめんなさいねー、真実をありのままにお伝えしております)。授精は子宮でするものなのに、なぜに肛門???

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再度左手を肛門から差し込み、じーっと集中するソネ先生。何かを感じ取ろうとしているみたいです。聞けば精子を受け入れる準備として、体内に黄体ができているか直腸ごしに繁殖器官をさわって確認しているのだそう。ふむふむ納得。まさにDon't think, feel. ブルース・リーやマスター・ヨーダの境地です。

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牛さんの状態がOKということなので、往診車に積んでいる窒素タンクから精子の入ったストローを取り出し、注入器に装着。

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と、思ったらおもむろに注入器を背中に突っ込みましたよ。背中がかゆいのかと思いきや、精子が活発に活動するよう人肌であたためておくんだそうです。少しでも受胎率をあげるための工夫なんですねぇ。

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なんでしょう、野武士感がハンパない(笑)

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いよいよ本番。陰部と肛門をしっかり洗って

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肛門から入れた左手で子宮頚管をつかみつつ、右手で陰部から精子注入器を子宮へ向けて挿入、そして発射!

指先の感触だけが便りの人工授精。職人技です。

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一方こちらは家畜人工授精師のタカハシさん。よーく見ると、さっきと同じ注入器が肩越しにのぞいてます。

注入器を背中で運ぶソネ先生に対して、胸の谷間にしのばせるのがタカハシさん流。やっぱりくノ一(くのいち)の武器は胸なのか?谷間のないくノ一はどーすんだ???と、しょーもないことを考えながら後ろを付いて行きます。てくてく。


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ソネ先生と同じく、左手は直腸へ、右手で注入器を操作。

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全神経を指先へ集中するタカハシさん。いつもニコニコしてるから、こんな真剣な表情、初めて見ました。かっこい~い♡

ちなみにちょっと小柄なタカハシさん。人工授精するときは、
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長いも用の黄色いコンテナがお立ち台っ!


ハァァ、すごいですねー。牛の人工授精は、キツイ・キタナイ・キケンが見事にそろった3Kそのものというのが率直な感想です。時には10頭以上も続けてやることもあるという人工授精。牛さんの新しい命は、こういった現場の人たちの技術と精神力、忍耐力によって支えられているんですね。

気温30度を超える日も多くなってきたこの頃、長ーい直検手袋の中の手は汗でグダグダになることでしょう。ケガしないように、暑さで倒れないように、皆さん気をつけて業務に励んでくださいな。

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by vetkohi | 2018-07-02 14:46 | 獣医師の診療風景

家畜獣医師や牧場の日常を初心者目線でゆるーく発信。(有)小比類巻家畜診療サービスは、青森県上北郡東北町で和牛の受精卵移植や家畜診療、繁殖牧場などを行っています。


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